スチュワードシップ研究会PWG[i]

政策保有株式に関する意見発信グループ

 

 

政策保有株式については、上場企業の間で削減の動きが徐々に進んでいるとはいえ、依然として資本市場における大きな課題であると認識しています。このほど、スチュワードシップ研究会の有志が集まり、政策保有株式の問題点と解決策を提言することを目的として、ワーキンググループを結成し、討議を始めています。私達は政策保有株式をめぐる課題について資本効率性、非効率と思われる商慣行および情報開示の観点等から問題意識を整理し課題解決策を提示したいと思います。

このブログでは、WGの報告の第1弾として、現時点での議論のポイントや解決策の提案を箇条書きで要約して紹介するものです。報告書としては未完成ですが、当WGは、現在開催されている金融庁におけるスチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議の進捗を勘案しながら引き続き議論を続けていきます。

読者の皆様の忌憚のないご意見・コメントをぜひお寄せください。特に、課題解決策につきましてフィードバックコメントがある方が是非アイデアをお寄せください。

宛先 cross.shareholdings (あっと) gmail.com   あっとのところを@で置き換えてください

 

 

政策保有株式の削減に向けた意見書(案)

 

  1. 政策保有問題点の指摘
    • この意見書における政策保有の定義
    • 投資家の視点より政策保有の問題点 キャピタルアロケーションの問題を指摘
    • 金融庁における政策保有株式への認識の整理

 

 

  1. 問題意識

Ⅰ 保有させている企業における問題

  • 保有させている企業における議決権行使の歪み
    • 支配権の移動が起きないことの問題
    • 株主意思の原則が無視されている
  • 保有させている企業における経営規律の緩み
    • 保有させている企業における他株主との利益相反

Ⅱ 保有している企業における資本効率の問題

  • 保有している企業における最適なキャピタルアロケーションの阻害
  • 保有している企業における経営規律の緩み

Ⅲ 不透明な事業慣行を引き起こしている問題

  • 双方における最適なビジネス関係構築の阻害
    • 事案の紹介 取引先持株会について
    • 事案の紹介 損害保険業界について

Ⅳ 株式市場にリスクをもたらしている問題

  • 保有している企業における株主資本の不安定化
    • 株式市場の変動が株主資本の変動を増幅させる(プロシクリカリティ)問題
  • 資本市場における流動性の阻害

Ⅴ 上記の問題を生じさせる土壌である不十分な開示の問題

  • 双方における開示の歪み
    • 保有している企業の中で口約束である応諾を根拠に純投資へ振り替えその後の売却動向が不明になるケースがある
      • 応諾を得たという根拠・証拠を示すことができない
      • 有報の記載であるにも関わらず企業によってその基準にブレがある可能性大

 

  1. 解決策の提案

Ⅰ 保有させている企業に対する提案

  • 保有させている企業における株主資本コストの観点からの必要な自己資本の再定義
    • 最適なエクイティの量を考える
  • 保有させている企業における取締役会の認識を開示

Ⅱ 保有している企業に対する提案

  • 保有している企業における株主資本コストの観点からのKPI設定
    • 投資先企業に対するリターンを時価ベースで検証
    • 株主資本コストにあっているかどうかの根拠、またビジネス上のメリットがあるならその利益の額の提示
    • 保有している企業の企業価値向上に対する責任も問われる
  • 議決権行使結果の開示
    • 株を保有している限りスチュワードシップ・コードと同等の義務を果たすべきと考え政策保有株式における行使結果開示を要求
  • 保有している企業における取締役会の認識を開示
  • プロシクリカリティへの認識・対策を開示

Ⅲ 不透明な事業慣行を引き起こしている問題

  • 不透明なビジネス慣行に対する認識の確認及び解消に向けた取組

 

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[i] Purpose based Working Group (PWG) スチュワードシップ研究会の会員同士で、特定の目的で集まって活動を行うユニット。各PWGの意見はスチュワードシップ研究会全体の意見ではない。「政策保有株式に関する意見発信グループ」はPWGの一つ。