投函者(三井千絵)

2024AGM02

日に日に濃くなる緑の季節の対話

2024年5月総会の企業も先週までに無事総会を終えた。2社しか見ることができなかったが、業種の異なる2つの会社で、共通したのは人手不足に対する経営者/取締役会の心構えに関する質問が目についたことだった。個人投資家の視点は意外に重視すべきだ。経営者もそう思っているかもしれないが・・・。

 

フランチャイジーが抱える不安(7&I HD

28日に株主総会を開催したセブン&アイHDは、オンラインを提供してくれていない。そのため会場に行くしかない。遅れて走って会場に着くと、入り口でペットボトルを渡してくれた。席に着いてふと見ると7iのラベルのお茶だった。

会場では200人〜ぐらいだっただろうか。質問をする株主の多くは、どうやらフランチャイジーで、店主として時代の変化、人々の生活のあり方の変化に、顧客の嗜好や人手不足といったさまざま不安を重ね、それを株主総会で経営者に問いかけていた。

店主の高齢化、人手不足への対処については複数の株主から質問が出た。永松社長は最初、フランチャイジーの再契約率も高く、あまり心配していないと述べた。しかし次々と株主から似たような質問がでて、「人手不足は危機感より恐怖感を感じている」という声がでると、店舗の人手不足についてはセルフレジの導入や離職率を下げるために本部で研修を実施している、と答えた。株主からは「先ほど事業報告の中で人権のことなど触れていたが、本社だけでなく加盟店が従業員の賃上げができるように、たとえば売上に対する本社へのロイヤリティのチャージ比率を見直すなどそういった施策はないのか?」という質問もあった。これに対しては「持続的な成長が重要。常に投資をしていかなければならない。チャージを下げて一時的に売り上げがでるかもしれない。しかし拡大の方が責務」と答えた。また別の”株主”から「TVのコマーシャルも商品重視。従業員に光を当て、働きたくなるようなメッセージも」という声もあがった。

一方、加盟するためには経営の安定のために“履行補助”というパートナーが必要だが、夫婦を想定した規定で、昨今の家族形態にあわず加盟店になれない、というケースが”株主”から提起された。社長はよく認識していると答え「確かに、生活形態のあり方の変化で生涯独身である、ご兄弟がいないなどによって難しいケースが出てきて、今話し合っている。今の時代にあった制度にしていきたい」と答えた。

 

「その言葉を胸に刻みます」

ある株主は指名されると「福島から来ました」と自己紹介し「一昨日、郡山店の閉店で福島から全てのヨーカドーがなくなりました」と話し始めた。寂しい思いを述べた後、「ただ、悲しいかなヨーカドーは足を運んで買うものがないんです」と淡々と述べ、競合との違いを指摘し「今後どうするつもりなのでしょうか」と問うた。

これには井坂氏も「福島のみなさまには本当に申し訳ないと思っている。今ご指摘いただいた”足を運んでも買うものがない”これを胸に刻んで改革していきたい」と答え、ヨーカドーの丸山社長は、「福島から来てくださって、ありがとうございます。また長年郡山支店をご愛顧いただきありがとうございました」と頭を下げると、聞いている方が驚くほど、総合的なスーパーになろうとし、広く浅い投資でライバルに勝てなくなり、高コスト体質になった、と厳しく自己批判した。

最後の二人になって質問した株主は「井坂さん、一年ぶりですね」というと雄弁に語った。おそらく24時間営業や賞味期限が近くなった商品の値引きを訴えてきた店主のうちの一人であるようだった。そして厳しい指摘を始めた。これまでセブンが取ってきた対応を述べ、今人権を大切にするというのであれば、賃金もそうだけどもっと具体的な表現で株主が納得できるよう表すことを求めた。

最後の”株主”は35年ぶりの改装を行い明日リニューアルオープンを控えていた。そして確かに世の中のニーズが変わったと思う、とその胸中を述べ、今本社で実験的に商品数を増やしている店舗の状況はいつ教えてもらえるのか、と質問した。

永松社長は「見えてきたことを早く水平展開したい。生活アイテムが意外に売れている。豆腐とか納豆、野菜も売れている。出来立てパンとかピザなんかも売れている。スムージーとカフェ。。。」とかなり詳細に語るのに驚いた。QA対応の途中で語っていたが、永松社長が新人の頃担当した加盟店で、いまお孫さんが継いでいるケースがあるそうだ。参加した株主は、経営者のコンビニビジネスに対する“愛”を感じることができたのではないだろうか。

 

「年に一度の直接対話の機会、遠慮なく質問してほしい」(安川電機)

29日は安川電機の株主総会だった。オンラインを提供してくれたため、九州まで行かずに参加することができた。議長(会長)はややぶっきらぼうに、トツトツと説明をしていたが、QAの時間になっても最初誰も手を挙げなかった時、「せっかくだからなんでも聞いてください」と呼びかけた。

するとある株主が挙手し「最近ソフトウエア系の会社がどんどん伸びている。安川電機はハードウエア系だと思うが、今後のこと、どう考えているか」と聞いた。

議長は、ものづくりは結局ハードだみたいなことを呟いて「社長」と回答を振った。社長は「ソフトウエアというのはハードウエアを動かすためのものです。ソフトが生きるのはハードのおかげです」と力を込めた。ただ安川電機もソフトウエアは必要だ。それについては「ソフトを自分たちだけで作るかというと、それはサステナビリティとしてどうかと思う。オープン化の構造をとっていきたい」と述べ、また「いかにハードウエアを有効に動かすソフトウエアにするか、パートナーとの連携も重要だと思っている」と繰り返した。「ハードウエアを作ってなんぼです。これは今後もブレずに行くつもりです」

少したつと、また質問が途絶えた。会長は「年に一回の直接の対話の機会なので、なんでも聞いてください」と訴えた。「何か疑問があったら、遠慮なく」

結局合計4名の株主が質問した。最後の株主が人手不足関連の質問をした。「最近九州全体で採用も難しくなってきています。先々に向けた取り組み、ワクワクするような中期的な人員計画などないですか? また今後、外部登用などはどう考えていますか?」

もともと、工場の省力化、無人化に向けたロボットを強みとする安川電機自体も人手不足はあるようだ。「全世界でアウトソーシングなどもしてきた。一方現場では人が不足してきている。しかし生成AIなどをどんどん導入している。グローバルにも人手不足なので、自動化、省力化を進めなければならない」

株主総会終了後、会長は全ての執行役員を紹介した。外国人取締役も全員起立し、日本風にお辞儀をした。地元に根ざした会社のように感じた。それゆえに、年一度の、直接対話を経営陣も重視しているのではないかと感じた。

 

5月総会が終われば、次はいよいよ6月総会がやってくる。すでに気候変動関連の株主提案を受け取った企業もある。今年はどのような議論が中心になるだろうか。